設立趣意書
☆NPO法人「森の包括支援センター」設立趣意書 (認定NPO法人へ申請中)
2016/10/01
設立呼びかけ 園田安男
東京都西多摩郡日の出町大久野1486
1990年ごろから、花咲き村は森林ボランティア活動を始めた。
1986年春の西多摩大雪害による森林災害をボランティアとして森林再生をめざして市民参加の
森林ボランティア活動が始まった。この時期、同じような市民参加の森づくり活動が西多摩から、
全国へと広がりをみせてきた。結果、「森づくリフォーラム」という森林ボランティアネットワー
クも誕生した。都市住民の森林整備と活用活動への参加が始まりと言える。
活動は、参加する人々の身体を通して、森林の実情を知らしめることに貢献してきた。いくらか世
の関心も味方にし、森林は林業という生業の場だけではなく、空気、水、土の礎であることをも広
めることができた。多様な人々の参加は行政による森づくりの様々な施策を生み出し、森林環境保
全の意識の高まりをみせる。
時代は変わる。多くの人たちの森林参加を促してきた成果は新たな課題を提示する。
森林ボランティアとして参加した人たちの高齢化、小規模所有者の山離れはさらに進み、明るい未
来を見通せなくなつた。
課題は移る。「多様な人々による多様な森づくり」という参加者の底辺を広げ、多様性のある森
づくりを実践することから、森づくりを担う人づくり、つまり、掲げる旗は「森づくりは人づくり」
だ。持続する森づくりは「持続する森の人づくり」を旗にするしかない。
この25年間の森林ボランティアの成果を活かし、発展させるには次世代の育成が急務であり、そ
の底辺の広がりをもたらすものは新たな人材であり、活動である。日先の課題への取り組みに終わ
らず、20年後を見据えた活動を戦略を持つて取り組むことが必要ということであり、端的に言え
ば「20年後の森づくりを担う森の人づくり」である。このための様々な育成プログラムを企画し、
実践し、20年後も森に関わる人、担う人を育てることだ。
森に関わり続きけた人たちは今、集合し、知恵を出し、後続する人たちと関わり続けるレールを敷
いていくことがいる。特に、青少年の森林体験を援助し、野を駆ける青少年を育む。そして、林業
で生業とする人たちを育て、放置されている森林の有効な活用を提示し、所有者が森林への愛着を
持てるよう励ましあえる環境を作っていく。
豊かな森林環境はあまねく人々に恩恵をもたらす。未来の人々の豊かな生活の一助となればそれ
でいい。魯迅が言うように「歩く人が多くなれば道はできる」。私たちは魯迅の言葉に付け加えよ
う。20年後の豊かな森林環境への道は、まず自分が歩き出すことからはじまる、と。この道が「森
の包括支援センター」である。
◆課題となっているものをプロジェクトチームで対応する。テーマと目的を書いておく。森の包括支援センター
は以下のようなプロジェクト実践しながら、これらを運営できる「森のマネージャー」育成の活動でもある。あ
わせて「山が好きだ」という青少年を育てよう。以下のプロジェクトは今、取り組んでいるもの、思いついたも
のを列挙してみた。
PJ1) 青少年育成 大久野中学校・学校林づくり
日の出町立大久野中学の林業体験授業は花咲き村として、かれこれ10年以上はやつている。今は、「みんなの
森」のひとつを「大久野中学・学校林」として育てようとしてきた。しかし、授業だけの取り組みに終わり、以
後も身近な大久野の森に関わろうという少年達はほとんどいない。ここ数年は地元の人たちもいくらか手伝うよ
うになってきた。「どういう森づくり」をするかは、結局、「誰が将来、この森づくりを担うのか」につきる。
特にカギとなるのは、親たちの参加をどこまで促しえるか、であり、このことは「学校の授業」から「大久野地
域の活動」へと飛躍できるかによる。このために、タケノコ、山菜などに親しんでもらいながら、山里特有の体
験活動の取り組みなど行い、自分が育った自然環境への愛着を育む、などなど。
PJ2)青少年育成:都立多摩高校のふるさとの森づくり
入り日は、都立高校全てで行つている「人間と社会」の授業で近くの都・勝沼保全地域で里山活動を取り組むこ
とをサポートしていくことからだが、これも森林体験をとおして森への愛着を育てることが主眼。ここで、中学
生と違うのは森林体験から将来の林業や森林関係への仕事につながることになればいい。また、最近の高校生は
アルバイトに追われ、とても「ボランティア活動」という余裕はないという実情がわかったが故に、なにがしか
の有償社会活動費が支給できる仕組みを作ることだ。
PJ3)青少年育成:恵泉大学サービスラーング授業を生かの活性化
多摩市にある都・東寺方保全地域での里山活動を年に数回、指導してきたが、ただ里山整備活動に終わらせない
で、竹林からの竹パウダーを使つての有機堆肥づくりや小型バイオマス発電研究会などを企画し、放置されてい
る里山整備に終わらせないで、未来を創造する里山活動へ転換すること。現状の保全ではなく「未来のための活
動」という取り組み方にする。50ヶ所ある都の保全地域活動に若者参加の典型事例にできるように。
PJ4) 小規模所有者サポート:小規模所有民有林の活性化プロジェクト
管理放棄されている森林管理委託や小規模所有者相談窓日開設。日の出町での現状から見ていると、事態は日ご
とに深刻になつている。特に50h a以上の森林所有者の状況だ。この人たちは基礎林業家としてあつた。木材価
格の低迷時期にも代々、林業を受け継ぎ、森林の担い手林家であった。ところが、この「代々の受け継ぎ」が壊
れかけている。まずは、自身が森林所有しているかも知らない所有者の意識を上げることからその先を展望でき
る手立てを工夫してみる。どういう方法があるかは、今、明確は解はない。
現在行つている生徒、学生の体験活動指導、あるいは企業のCSR活動指導など、多様な体験活動を指導できる
PJ5)様々な体験活動の指導者養成講座
スタッフの養成
現在行つている生徒、学生の体験活動指導、あるいは企業のCSR活動指導など、多様な体験活動を指導できる
スタッフの養成。
PJ6)フィールド活用:「みんなの森財団」所有林の多様な活用
一日2万円寄付で、日の出町大久野の森林、3ヶ所、4haを利用面での多様な工夫をする。現在、大久野中の
「学校林」として、子どもたちの「冒険の森」として、あるいは山菜などで活かす「銀の森」として、整備し、
活用しているが、量と質を高める必要がある。とにかく、整備に終わらせない。
どこまで現実性があるかは別として、「市民参加の森づくり」から「市民所有の森づくり」というスタイアレを追
求する。これまで培つてきた森林ボランティアのベースを活かし、所有による多様な活用事例を作る事によつて、
森林所有に意欲を失つている人たちへの刺激が必要かも知れない。経験的に言つても「所有することによる活用
可能性の広がり」は期待できる。
PJ7)東京都が進める「多摩の森林再生事業」への提言と問伐作業請負
これは、公的資金による森林整備の事例であるが、ただ「森林が整備されるために公的資金を使う」だけに終わ
らせないで、「担い手育成」という課題を入れ込むことだ。また、今後の担い手を考える場合、若者力、女子力、
老人力の活用をどこまでやれるか。そのために、機械化を進めていく。特に林内作業車を使うことができれば仕
事は増える。
PJ8) 調査と課題研究:例とて「小規模バイオマス発電Jや「林業の機械化」
森林の未来を語るには、新しい取り組みが不可欠である。幸い、バイオマス発電や林業機械の企業とのつながり
ができたので、ここから新しい森林業を創造できたらいい。こうしたことから新しい山の生業を研究する。